写真によっては、被写体を写真の中心からずらしてトリミングすることで、空間に意味を持たせることができます。トリミングによって、時間軸や奥行きを演出する空間演出の方法を学びましょう。
例えば、人物が横を向いた写真のような被写体に方向性がある場合、被写体の視線の先に空間を設けることで「未来」を思い描いているような印象を与える、前向きなメッセージのデザインが可能となります。反対に、背後に空間を設けると視線の先に広がりがなくなるため、「過去」を思い出しているような印象を与えることができます。自動車が被写体の場合は、進行方向の先に空間を設けると、パースが強調されるため、空間に奥行きのある構図になります。進行方向の逆側に空間を設けると、空間の広がりは弱くなりますが、その反面、被写体が強調されるため、迫ってくるようなスピード感を演出することができます。
また、同じ写真でもトリミングによって、紙面の印象を変えることが可能となります。多くの場合、引きの写真を大きく使うと、被写体の「大きさ」「置かれている状況」を伝えることができます。迫力はなく、整然とした印象の紙面となります。一方、よりの写真を大きく使うと、「素材の状況」などのディテールが強調されるため、五感に訴えかけるような印象となり、インパクトが感じられるレイアウトとなります。どの情報を優先して読み手に伝えるかを考えた上で、トリミング方法を検討すると良いでしょう。
さらに、人物画像における「顔の占める割合」=「フェース率」も意識することも大切です。画面に対して、顔の占める割合が大きくなる(=フェース率が高くなる)と、信頼度や知的などの印象を与えます。一方、フェース率が低くなると、肉体的な魅力が強調されます。