源氏物語絵巻として現存する絵巻ものは平安時代の後半に、作者未詳として誰かしらの手によって作成されたものであると考えられております。
平安時代の宮廷に暮らす女性たちの生活様式を伺い知ることのできる貴重な資料でもあります。絵巻物に描かれている女性たちは、女性装束をまといその優美な暮らしぶりが描かれておりますが、デッサンを手習いする筆者としては、日本古来の絵巻物などの構図に幾たびにも驚かされることがあります。
当時はドローンなどの機器が無かったにもかかわらず、物事や人物、建物を俯瞰したような目線からの構図を多く見かけることができるからです。ドローンなどの特殊なカメラ機器がない時代においては、すべてをイマジネーションで描いていたのだとしたら、人間のもつ想像力に限界はないのかもしれないと思わされてしまいます。
筆者自身がデッサンの練習中に常に構図に悩まされている段階なのですが、平安時代に描かれた絵巻物の中では、いとも簡単に人々の暮らしぶりを表現する構図が描かれ、当時を知ることもない現代を生きる私たちにその様子の詳細に至るまでに伝えてくれている表現力には脱帽するものがあります。
皆さんの目には現代の風景がどのように見えておりますでしょうか。人差し指と親指で作る額縁を目の前に構えてみると、見えているようで見えていないものが現代社会の姿には多いのかもしれないと考えてしまいます。