イタリア・ルネサンスを生み出したとも言われる画家ジョット・ディ・ボンドーネは、絵画において先進的な作風で知られていますが、額縁の扱いに対しても従来の祭壇画の取られていた画枠という位置付けに革新的な、それこそいまでいう額縁という形態を生み出したとされています。その良い例が『オニッサンティの聖母』。予兆はすでに13世紀に描かれたとされるドゥッチョ・ディ・プオニンセーニャの『ルチェッライの聖母』などにみられてはいましたが、まだ完全な形には至らずどちらかというと移行期という印象は否めませんでした。今までの祭壇画の中の一部分としてどちらかと言えば自己主張することなくたたずんでいた絵画とその枠かこいを見事に独立した絵画と額縁としたジョットの功績は大きいと言えるのではないでしょうか。